治療室くるみでよく使うのですが、何しているのですか?とよく質問を受ける頭蓋仙骨療法(クラニオセイクラルワーク)について、なぜ多用するのかも交えてご説明します。
頭蓋仙骨療法は、アメリカの自然医学・オステオパシーの代表的な治療法の一つで、脳脊髄液の還流を促し、深いリラックスを導き、特に神経系、免疫系、内分泌系への効果が期待されている治療法です。
オステオパシーとは、19世紀後半にアメリカで確立された自然医学で、現代医学の解剖・生理学に基づきながらも、基本的に、外科的手術や投薬に頼らず、人間が本来備えている自己治癒力を高め健康を取り戻すことを目指す医学です。
赤いところが脳脊髄液の造られるところ。薄い黄色が脳脊髄液 | 硬膜管が連なるところ |
脳脊髄液は、脳の中で血液を濾過して作られ、硬膜管の中を通って頭から仙骨まで流れています。
硬膜管の中には、脳と脊髄が収まっており、その脳と脊髄を優しく守るように、脳脊髄液は硬膜管の中を満たし、脳と脊髄を外側の衝撃から守り、栄養を与え、老廃物を排出する働きをしています。
その脳と脊髄、脳脊髄液を入れる硬膜管は、頭蓋(クラニアム)の内側から、脊柱管を通り仙骨(セイクラム)まで連なるので、ここに働きかけるということで頭蓋仙骨療法(クラニオセイクラルワーク)と言われます。
頭蓋骨-硬膜-仙骨は、一連のリズミカルな動きを持っています。
頭蓋骨の歪みのパターンは、硬膜管を経由して仙骨まで届きます。
逆に仙骨の歪みのパターンは、硬膜管を経由して頭蓋骨まで上がっていきます。
さまざまな原因で、頭蓋骨や仙骨に歪みができてしまうと、リズミカルな動きが崩れ、脳脊髄液の環流を阻害し、脳や脊髄に十分栄養が届かないことになります。
また環流のリズムが小さいところは、リズムに連なって動くはずの骨や筋膜の動きも少なくなり、血流やリンパの流れ、神経の通りにも影響が出てきます。
このような頭蓋骨や仙骨の歪みが硬膜を通して派生していく問題を硬膜由来の問題や痛みと捉えています。
通常の筋骨格系の治療であまり変化のなかった方や、過去にひどく頭を打った、腰を打った、尻餅ついた、噛み締めがひどいなどの方で、治療効果が上がることが多くあります。
治療者は、主に、頭蓋骨、仙骨、踵の微細な動きを指標に硬膜の動きに働きかけ、硬膜管のねじれのパターンを修正して脳脊髄液の還流を促していきます。
脳脊髄液環流のリズムは、頭蓋骨や仙骨だけではなく身体中どこでも捉えることができます。
呼吸でも、脈でも、心拍でもない、潮の満ちひきのようなリズムにチューニングしていくことは、神秘的で瞑想的でもあります。
多くの患者さんに共通の感想が、寝ているのか起きているのかわからない不思議な感覚…というもの。
最も侵襲性の少ない療法で、リラクゼーションを導き、自己治癒力の源泉に働きかけ、患者さん自らが変化することをサポートする治療法と位置付け提供しています。